夏服

おじいちゃんが亡くなった連絡をもらった後に、

頭の中で流れた曲がaikoの夏服だった。

 

もっと緩やかに季節が過ぎていってるのかと思ってた

思った以上に静かにこんなに早く夏がくる



お願いあたしより先に

その夏服を着ないで

冬の切なさ引きずったまま

あたしはそっちに行けない

あたしはここに立ったまま

 

 

2週間前に入院している病院から、

看取りのために前までいた介護施設に移ると聞いて、

おじいちゃんに家族全員で会いにいった。


前よりもさらに痩せ細った姿を見て、

もう会えないんだろうなと思いつつ

「あんなだよ、またね」としか言えなかった。

これが最後なら手とか握っておきたいなと思ったけど、

おじいちゃんの腕にちょっとだけ触れた。


病院からおばあちゃんの家に帰って、居間から寝転がって見る空はやたら青かった。

次の夏休みは、おばあちゃんにしか会えないのかなと思いつつ、

またうとうとして寝てしまった。

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出棺のとき、初めて触ったおじいちゃんのほっぺは冷たかった。

久しぶりに会ういとこや初めて会う親戚。

人が死ぬのは大変で不思議だ。


山の上にある火葬場についたとき、

もう蝉が鳴いてるとおばちゃんが言っていた。

また夏服を思い出した。

 

 

最後だと思って会いには行けたので、あんまり後悔は無いな。

毎週新幹線に乗って、施設に顔を出していたお父さんや

苦しまずに死ねて幸せだと言っているおばあちゃんはどんな気持ちなんだろう。


明日のお葬式で出来るだけ泣きたくないなと思う。